島を訪れた日に山の花畑ではおばあさんが独り手入れをしていた。 撮影をお願いすると「顔が綺麗だといいのにねぇ」といってポーズをとってくれた。 島では何処へ行くのでも歩いていかねばならない。年老いた体には坂道の多い島の暮らしは大変だと思う。 路地を入ると古い板壁に瓦葺きの家が続く。人影も無く静かな昼間。 玄関の屋根越しに見上げる空は4月の太陽がサンサンとふりそそぎぐ。 すこし小高くなった畑から海を臨めるあたりからは、島の風景が楽しめる。 雨戸をしっかり閉めた家の中庭には雑草が茂り、住人の居ない静けさだけが寂しく伝わってくる。 額ほどの土地を耕して花作り。日々の水遣りも大変だと思う。 急斜面の多い島では石垣を巧みに築いて段々畑にしている。ここまで上がってくるのに一苦労である。 ずいぶん高いところまで上がって見ると海や港が一望できる。風の穏やかな日はいい眺めである。 定期船発着場。以前は人だけしか乗ることができなかったが、今はフェリーとなって便利になった。 島では定期船の入港の汽笛が聞こえてから桟橋に向かって走り出す悠長さである。 定期船の乗り組み員には島の出身者も多い。出港までのひと時、世間話にも花が咲く。 氏神様の大鳥居。島が活気付いていた頃、祭になると神輿や大漁旗がこのあたりに処狭しと並んだという。 家々の大切な井戸。島では飲み水は貴重なもので水神様をお祭して大切に守ってきた。 今では海底パイプが引かれて飲み水に不自由することは無い。 島の郵便局。 坂道を登ったり降りたり、集落が北と南の離れた漁港の近くにあって郵便配達は大変である。 平成5年に廃校になった小学校の水飲み場。日が差し込んで暖かい時間がすぎてゆく。 集落のお堂には毎日新しい花が供えてある。4月の暖かい日差しが気持ちいい。 島には「猫の島」と言われているくらい猫がたくさんいる。海岸の防波堤では目の前で日向ぼっこしていた。 ここにも猫が。魚は豊富だしいい物食べてるのだろうかよく太っている。 島影の人気の無いところには車の残骸や廃棄物が処狭しと捨てられていて美しい島の無残な姿を見てしまったような気がした。
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